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東三河のキラリ人

夜空に浮かぶ立物花火 ー 立物花火保存会

Vol.028

夜空に浮かぶ立物花火 ー 立物花火保存会

  • 芸術文化部門

 ここ東三河は花火が盛んで、勇壮な手筒花火(てづつはなび)をはじめとする独特の花火文化が根付いております。
 そのひとつである「立物花火(たてものはなび)」は、三河地方に伝わる伝統的な絵の仕掛花火で、その巨大さと巧みな演出で観客を魅了し続けてきました。
 今回は、新城市の東新町において立物花火を受け継ぐ立物花火保存会を訪問して、相談役の石牧さん・柿田さん、会長の澤田さんからお話を伺いました。
 なお、立物花火は新城市の無形文化財に指定されております。

○写真左から石牧さん、澤田さん、柿田さん

立物花火という名は初めて聞く人も多いと思いますが、その歴史や特徴などを教えてください

  
 江戸時代中期に、参勤交代で江戸に赴き両国の花火を見た新城藩主らが、その花火の技術を持ち帰り披露されたことが起源と伝わっております。
 かつては三河の各所で披露され、その技を競ったそうですが、現在ではここ新城市の八幡神社と豊川市の菟足神社(うたりじんじゃ)、幸田町の稲荷神社(現在は休止中)ぐらいしか残っておりません。
 立物花火の特徴としては、一般的な絵の仕掛花火は横長ですが、立物花火の絵は縦長で、船の帆のように1本の柱に取り付けられ、その上部から左右の地面へと張られた綱は、多数の提灯で飾られております。
 その大きさも、絵の部分だけで縦10mの横6mで、全体の高さでは20mを越える大きなものですよ。
 また、様々な仕掛を用いた演出も立物花火の特徴ですね。
 順を追って流れを説明しますと、まず綱火(つなび)という水平に進むロケット花火が発射されます。
 綱火は火の粉の尾を引きながら突き進み、立物花火の手前にある打上花火を点火します。
 そして、一斉に上がった打上花火のうちの1つが、立物花火の上部にある提灯に飛び込んで点火し、更に左右に続く提灯にも次々と火が移り、提灯の赤い光が浮かびあがります。
 続いて2本目の綱火が発射され、今度は立物花火本体へと突き進み点火すると、絵の部分全体に火が回り、煙とともに発光を始めます。
 この段階では絵の部分は折りたたまれておりますが、煙が治まるやいなや観音開きのように開き、夜空に鮮やかな絵が浮かび上がります。

私も観賞させていただきましたが、鮮やかで幻想的でしたね。今回の絵柄はスカイツリーでしたが、どのように絵柄は決められているのですか?

  
 昔は名所の風景などを絵柄としておりましたが、このごろは新しい絵柄も取り入れるようにしていますよ。
 毎年保存会で話し合って絵柄を決めていますが、絵のデザインにはいつも苦労させられますね。
 特に、小さな花火を並べた線だけで描くところが難しいです。このような線画の得意な人がいると良いのですが。

立物花火保存会は、どんな方で構成されているのですか?

  
 八幡神社では、地元地域の3団体が合同で打上花火や手筒花火などを披露しておりますが、そのうちの1つである新煙社のOBを集めて、現在13名で保存会の活動をしています。
 新煙社のOBといいましても、全員が参加するわけではなく、花火の扱いに長けた人に声をかけています。
 特に現会長の澤田さんは、電線などの高所作業を仕事にしていましたので、これは立物花火に必要な人材だと熱心に誘いましたよ。

立物花火は、全体の高さが20mを越えますので、組み立てるだけでも大変な作業ですよね

  
 今はクレーンやリフトがありますが、昔は全てが人力で、滑車を使ったり、よじ登ったりして組み立てましたので、それは大変でした。
 明治時代には、立物花火を見た当時の県知事から、名古屋市で披露して欲しいと誘われたものの、立物花火の柱が長すぎて現地で手配できず、こちらから運ぶのも一苦労なので断念したという話も伝わっております。
 また、花火披露までの下準備は、1か月半ぐらい前から毎週末に行いますので、手間と時間がかかりますね。

準備の段階からご苦労されておられますが、立物花火にたずさわる魅力はどこにありますか?

  
 立物花火は様々な仕掛を使って演出しますので、なかなか思いどおりにはいかないところでしょうか。
 細心の注意を払い仕上げた立物花火が、こちらの狙いどおりに観客の皆さんに披露できて、歓声や拍手をいただいた時の喜びはひとしおですよ。
 また、受け継がれてきた仕掛の数々を披露するだけではなく、更に皆さんに楽しんでいただけるよう、新たな仕掛にも挑戦しています。時間差で徐々に絵が現れたり、絵が動くように工夫したこともあります。

伝統ある立物花火を次世代につなげることも大切な使命ですね

  
 先代から受け継がれてきた伝統を絶やさないという思いと、観客の皆さんに喜んでもらいたい気持ちで全員が頑張っています。
 また、なにより地域の方々の理解あっての花火ですね。
 これからも、私たちの技術を次の世代に繋げられるように頑張っていきたいと思います。

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 披露する当日、会場で立物花火を組み立て、念入りに調整を行う保存会の方々の真剣な眼差しが印象的でした。
 皆さまも、新城市に脈々と受け継がれてきた、技と心意気に触れてみてはいかがでしょうか。

 立物花火は、毎年10月第3土曜日の午後7時半から、新城中学校の校庭で披露されます。

出典

  
「キラッと奥三河 ―人・物・文化・企業―」
No.19 夜空に浮かぶ立物花火
訪問日 平成24年11月12日
訪問者 東三河総局新城設楽振興事務所 県民安全防災課 黒田、三浦

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