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東三河のキラリ人

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森を元気に! NPO法人森林真剣隊の活動を紹介します 山下修市さん

新城市 その他

10月11日から10月30日まで、COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)が名古屋市で開催され、日本が世界に発信した「SATOYAMA=里山」。
ここ新城市においても里山を守り、森を元気にする活動が行われておりました。
今回は、市民とともに森づくりの活動を行っております「NPO法人森林真剣隊」理事の山下修市さんにお話を伺いました。

まずは、「NPO法人森林真剣隊」の発足の経緯からお聞かせください。

話せば長くなるので省略しますが、ある団体が所有する山林があるのですが、平成8年から9年頃にかけて鳳来寺山の参道の脇にあたる1.4ヘクタールくらいを皆伐したんですけれど、その後どうしましょうということになりました。
そこは観光地なものですから、観光や環境といった面から花粉や日照などの問題があるので、針葉樹はやめてもらいたい、色のついた広葉樹などの森を作りたいという話からスタートしました。
そして、平成10年9月にその団体と地元の方や高校生などが植樹を行ったのが活動の始まりです。
その後、この植樹を行っていく過程で、平成16年11月頃ですが、もう少し山の技術を覚えたい、本格的な森づくりをしたいという希望者が出てきましたので、5名ほどいたプロが山の技術を教えるために「森林真剣隊」という任意の団体を結成しました。
平成17年7月には、子どもでもお年寄りでも誰でもフリー参加で広葉樹の森づくりを行う「いろいろの森」活動(注・最初に行った森づくりの場所の名称を、以後広葉樹の植樹等を行う活動の総称として使用)と、山の技術を鍛え、教えるセミプロ養成のための技術集団である「森林真剣隊」の活動の二本立てとする『NPO法人森林真剣隊』を組織し、現在にいたっております。
今では、この「森林真剣隊」は、単に教えるだけでなく間伐や整備などの受託事業やボランティア事業も行っています。

森林真剣隊の活動状況について、もう少し具体的にお願いします。

山のことを知りたい、知ってもらいたいということで、誰でも自由に参加していただき、森で遊び、植樹や間伐、ときにはきのこ採りをしてみんなで食事をする「いろいろの森」活動を月1回程度実施しております。
また、『森を元気に』を合い言葉に市の受託事業である「市民参加の森づくり事業」を主な活動として実施しております。
内容としては、森に関心のある方々を対象とした初心者向けの「しんしろ森の学校」を年6回、チェーンソーの初歩の取扱い方などを覚えていただきます。
中級者向けの「市民管理の森づくり」を年4回、実際に市有林の間伐や整備を体験していただきます。
そして、上級者向けの「森林ボランティアリーダー養成講座」を年11回、「森林真剣隊」と活動を共にして高度な除間伐技術など指導方法を習得し、森林ボランティアリーダーとなる人材の養成を目的として実施しています。

小学校などへも出前教室を行っていると伺っておりますが。

今年度は開成小学校で実施しましたが、実験したり山を実際に歩いていろいろなことを教えたりする小学校への「学校出前教室」や、地区の共有林など現地の状況に応じて森林整備の方法等を指導する「地域森林整備支援出前講座」などを行っています。
そのほか「森林真剣隊」単独の活動が何回かありまして、要請があれば隊員が地域に出かけ間伐などの指導をしたりします。

たくさんの事業を行っていますが、活動は年間何日くらいになるのですか。

これだけで土・日曜日を使って年間40日ほどでしょうか。
ですので、月で言えば5月くらいから8月くらいが少し暇で、もっぱら草刈りをしていますが、木が水を揚げなくなり山が落ち着く9月のお彼岸くらいから3月のお彼岸くらいまではびっしりですね。

では、森林真剣隊の隊員は何名で活動されているのですか。

森林真剣隊の隊員は、現在42名ほどです。
山が好きで、市内だけではなく名古屋市、春日井市、岡崎市、豊橋市や浜松市などから集まってくる三十代から七十代の隊員で構成しています。
また、フリー参加の「いろいろの森」活動は、十年以上やっていますから、参加者は延べ4、5千人くらいになりますかね。

今の山林の現状をどのようにみていますか。

山林がどうなっているのかは全体をみているわけではありませんのでよくわかりません。
市域の80パーセントくらいは山林なんですが、その50パーセントくらいは人の手が入っていない、手を入れる必要がある状況ではないでしょうか。
私たちはチェーンソーの使い方など技術的なことを主に教えておりますが、意識改革といいましょうか、簡単に言えば、小規模山林所有者の方は、自分の山は自分で手をいれなきゃしょうがないということを行く所々で話をしています。
そうしなければ良くならないんじゃないかと思っておりますから。

今年は新城市の農家でも鳥獣被害が多数発生しておりますが、植樹した苗木に被害などはありませんか。

ありますよ。
でも、お百姓さんと違って作物を作っているわけではないものですから、生活に直結するほど深刻な問題ではありませんが、猪は掘りますよね。
鹿やうさぎはせっかく植樹した新芽を食べたり、木によっては皮を食べたり幹をむいたりしているところもあります。
そのため、広葉樹を植えるときには木の実が成るものとして、コナラや山栗を植えたりしているんですけれど、里へ来ておいしいものを覚えてしまえばしょうがないですよね。
檻で猪を1頭捕獲した2頭捕獲したといっても解決しませんよね。
この鳥獣被害の問題は、本来の森の姿が変わってきたことによるものですけれど、では森林を整備すればいいかというと難しいですね。
ここまでくると、行政が数の管理をするなどの対策をとらなければだめだと思っております。

最後になりますが、森林真剣隊の目指すところについてお聞かせください。

これまでも述べてきておりますが、人工林を含めて健全な森を作ろう、常に森に人間が手を入れてスローガンである元気な森をつくろうということです。
それは、里山という言葉は使わないけれど循環する森を作り広げていくこと、循環する人と山、自然との関わりを取り戻すこと、そして人間もそれらの活動を通して元気を取り戻すことができるようにする。
実際うつになったような人も来るんですよ。
でも何回か森へ入って活動すると、笑ったことがない人が笑い出すとか向こうから話しかけてくるとか、人格が変わるとまでは言わないけれど、すごく変わって来たりするんですよね。
何か解き放つものがあるんだと思いますよ。
実際に森づくりを通して元気を取り戻した方々もたくさんみえます。
元気な森をつくり、人も元気になる、微力ですが私たち森林真剣隊の目指すところです。

森林真剣隊の活動を体験してみたい、参加してみたいと思われた方はどうしたらよいでしょうか。

一番いいのは、さきほどお話した初心者向けの「しんしろ森の学校」に参加してみてください。
それが出来なければ、「いろいろの森」活動に参加してもらえば、チェーンソーなどの道具もあって体験していただけます。
直接、森林真剣隊にご連絡ください。(〇五三六・三五・一〇三三)
是非一度、私たちと森づくりをしてみませんか。

出典

「キラッと奥三河 ―人・物・文化・企業―」
No.10 森を元気に! NPO法人森林真剣隊
訪問日 平成22年11月9日
訪問者 新城設楽山村振興事務所 県民安全防災課 河合、森

※記載内容は取材当時のものです。

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