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東三河のキラリ人

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自分たちの地域は自分たちで護る! われらが町の消防団 

新城市 技術部門

いざ!というとき頼りになるのは隣近所と消防団です。
火災や地震等の災害から住民の生命や財産を護ってくれる町の消防団活動について、新城市消防団の団長である佐宗龍俊(さそうたつとし)さんと新城市消防本部の熊谷和志(くまがいかずし)さんにお話を伺いました。

消防団の団員は、一般住民が他の職業に就きながら特別職の地方公務員として、火災や地震、風水害等の災害対応や火災予防の普及活動を行っています。
現在、全国には二、二七六の消防団に八十八万人を超える消防団員がいます。
当所管内の新城市と北設楽郡の町村には4つの消防団で千三百人を超える消防団員が活動しています。
また、新城市には消防団とは別に市の組織である消防署が設置されています。
消防署員は常勤で、本部のほか地域ごとに分署などが設置されており、消防団と連携をとって地域の消防活動を担っています。

消防団には年齢制限があると聞いていますが、何歳から入団できますか?、上限は何歳までですか?また、地域では若者が少なくなっていますが、団員数は確保されていますか?

新城市では男性であれば十八歳の誕生日を迎えた年の翌年四月から入団できます。
任期は三十九の誕生日を迎える年の年度末までです。
なお、団長など一部の役職には定年がありません。
(熊谷和志さん)

団員の数は、こちらのPR不足の問題もありますが、若者の絶対数が足りないということで、条例で決められた定数には足りていません。
この状態を補うために「地域支援団員」という制度を設けています。
(佐宗龍俊さん)

地域支援団員とは、どのような制度でしょうか。

火災等の現場へ出動して活動していただく実働の支援部隊で、式典とか操法訓練などには参加しません。
消防団員活動を五年以上経験し退団された知識と技術を持った方を対象としていまして現在、六十八名の方に登録いただいています。

また、消防団員は七割以上がサラリーマンで、自営業や農業という方は三割を切っています。
昼間、新城市外へ出て行く人が多い中で、消防力をカバーする力としても重要です。
(佐宗龍俊さん)

新城市の消防署は、設楽町、東栄町、豊根村から消防防災業務の委託を受けています。県土の五分の一にもおよぶ広い地域を百人余の消防署員で受け持っていることになります。そういう中での消防団の役割は大きいものがありますよね。

そうです。
いざ火災発生!となりますと通常は消防署の指揮隊という部隊が先ず現場へ向かいます。
続いて消防署の消火部隊に消防団も合流して皆で消火にあたります。
消火に当たっては、水利の確保というのが重要です。
消防署のタンク車でも数分で空になってしまいますので。
消防署には最前線で消火に当たってもらい、消防団は水利を確保してすぐにタンク車に水を補給します。
(熊谷和志さん)

消防団の役割は、連携と後方支援ですね。

ええ、そうです。
火災の場合は鎮火してからも大切な仕事があります。
残火処理や再燃しないように一晩中警戒しなければいけないということもあります。
消防署は他の地域で起きるかもしれない災害に備えてもらわなければいけませんから、鎮火したあとの仕事は、地元の消防団が引き受けます。
(佐宗龍俊さん)

この地域は山林が多いのですが、林野火災が発生すると消防団の役割はもっと多くなるのでは?

消防団は可搬(小型動力ポンプ)を持っています。
山の下を流れる川(水利)からをくみ上げ、ホースをつなぎ山の上まで水を運びます。
水圧が足りなければ中継に可搬を足してホースをつないでくみ上げます。
人海戦術で山の上までね。
こんな急(勾配四十五度くらい?)なところを運んだりもするんですからね。
五、六年前ですかね、作手・鳳来地区でたてつづけに林野火災がありましたね。
その前には新城地区でもありました※。
あの時には水がなくてねぇ。苦労しました。
(佐宗龍俊さん)

※平成十六年四月旧作手村と旧鳳来町で合わせて三十五万三千㎡(ナゴヤドーム約七個分)の森林を消失する火災がありました。また、平成八年四月には旧新城市で四十三万七千㎡(ナゴヤドーム約九個分)の森林を消失しました。

厳しい任務のある消防団ですが、消防団活動のどのようなところに魅力を感じますか?

訓練の後の宴会は楽しいですけど(笑)、消防団は十八歳から四十歳前までの幅広い世代が同じ目的で同じ活動をするので、普段、消防団に入っていないとできないお付き合いがあります。
自分も経験してきて良かったと思います。
そういう部分が魅力。
(佐宗龍俊さん)

地域とのかかわりという点では?

地域のお祭りでは消防団の各班が中心となって警備をしますし、防火PRをしています。
地域の自主防災会と一緒になって一人暮らしのお年寄りなどの災害時の救助活動なども考えています。
(佐宗龍俊さん)

毎月十九日には消防車が夜警で周っていたり、屋外消火栓の放水試験をしたりしているのを見かけますね。

自分の生活や仕事、家庭が大切で、その上消防団となると大変と感じる方が多い。
我々は素人ですから、訓練をして知識や技術を身につけないといけません。
非常に危険な現場へいくわけですから、自分や仲間の団員に怪我をさせたり、下手をすれば命を落とすこともあります。
ですから訓練は非常に大切です。
最近は、静かな生活を送りたいと考える若者が増えて、新入団員の勧誘に行っても断られることが多くなりました。
我々も、なるべく団員の負担を軽くしながら技術や知識はしっかりと身につけられるやり方を考えていこうとしています。
「自分の地域は自分で護る」という気持ちを少しでも持ってもらって。
(佐宗龍俊さん)

息子さんが地元に帰ってこられたら、消防団に入ることは薦めますか?

もちろん。
薦めるというか何もいわなくてもそうなるように今、少しずつ洗脳しています(笑)
(佐宗龍俊さん)

子供達に期待することは?

やはり「自分達の地域は自分達で護る」という気持ちを是非持ってもらいたい。
消防署もありますが、これだけ広い地域で東海沖、東南海地震が起きれば、被災した全ての地域に消防署の方は来てくれません。
そういう時は自分たちでやるしかないんだ、という気持ちをしっかり持ってもらいたいです。
大人になったら是非、積極的に消防団に参加してもらいたい。
自分達の生まれ育った地域を大切にする心は、人間が成長していく上で非常に大切だと思うんですよね。
自分たちのできる範囲で地元に恩返しするっていうんでしょうかね、そういう気持ちを少しでももって大きくなってもらいたいなと思います。
(佐宗龍俊さん)

出典

「キラッと奥三河 ―人・物・文化・企業―」
No.11 自分たちの地域は自分たちで護る! われらが町の消防団 新城市消防団、新城市消防本部
訪問日 平成23年3月
訪問者 新城設楽山村振興事務所 県民安全防災課 黒田、齋藤

※記載内容は取材当時のものです。

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