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東三河のキラリ人

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伝えたい和の心 「湯谷観光ホテル 泉山閣」

新城市 その他

旅行と言えばやっぱり温泉です。
奥三河を代表する温泉といえば湯谷。
湯谷温泉旅館組合のひとつ「湯谷観光ホテル泉山閣」へお邪魔しました。
出迎えて頂いたのはご主人の片桐幸信さんと女将さんの克予さんです。
ご主人は住職をされているような落ち着き払った風貌の方です。
女将さんは大福餅を思い出すふくよかさで、いつも元気いっぱいの方です。
ロビーで女将さんにたてていただく新城産の抹茶は優しい甘さで美味しくて無料だからお徳感が満点です。

女性にはどんなサービスが人気ですか?

日帰り温泉入浴とランチ、ヒーリングセラピーで心と体を同時に癒していただくプランがあります。
一日限定二組ですが、その分、お客様にはのんびりしていただけるよう心掛けております。
他には、ヤングママがゆっくりお食事できる、畳文化の旅館ならではのご利用方法があります。
昼間は空いている広い宴会場で、小さなお子様に自由に遊んで頂けます。
やさしいオモチャやお昼寝の寝具もご用意させていただいております。
また、貸切風呂もご利用下さい。
この旅館をママ同士のコミュニケーションの場に活用してはいかがでしょうか。
(女将さん)

湯谷温泉の歴史

この地には、お客様が数泊滞在しても全く退屈しない自然や歴史が沢山あります。
仏法僧のような野鳥の鳴き声が聞かれますし、景観は板敷の川底が美しく、その岩盤は流紋岩の層で、大野から川合辺りまで15キロ程広がっています。
鳳来寺山の珍しい山肌も、それが露出している一部です。
鳳来寺山東照宮は日光・久能山と並ぶ三大東照宮の一社です。
徳川三代将軍家光公により、祖父の家康公をお祀りしました。
家康公の母は良い子が授かることを願い、鳳来寺の本尊の薬師如来にお祈りをしたところ、間もなく家康公を懐妊しました。
家康公は干支の寅年、寅の日、寅の刻に生まれ、寅神(薬師如来を守護する十二神将の一神)の化身であったと伝えられています。
湯谷温泉はその時代よりもずっと古く、今から千三百年程前の飛鳥時代に利修仙人が鳳液泉という名泉を開いたと伝えられています。
その頃、都では文武天皇が病にかかられて、奥三河の山中にいた徳高い修験者である利修仙人に使者を遣わしました。
そこで利修仙人は鳳凰にのって、都に上り、天皇のご病気を治したそうです。大変喜ばれた天皇は、ここの山に寺を建立し、鳳来寺と命名されたそうです。
(ご主人)

和風へのこだわり

大正時代の湯谷温泉街は旅館が5軒ほどで、今のJR飯田線ではなく、私鉄がとおっていました。
新城地域が材木業で賑わっていた頃でもあります。
鳳来峡は、豊橋から軍人さんが遊びに来る場所でもあり、観光客の数は今の2倍もありました。
現在の泉山閣の営業は昭和四十七年からになります。
バブル前は団体客が多かったです。
週休二日で休みが増えたことは観光推進のようにも言われますが、旅行の機会が増えるということは、一回の旅行に対しては節約する傾向が強くなるみたいです。
昔はクリスマスのような華やかなイベントを企画に取り入れたりもしましたが、価格破壊の今は、“日本的なもの”を大切にしています。
食事がバイキングであったり、布団を敷くことがセルフであったりという旅館もありますが、私は合理性だけに目を向けるのではなく、浴衣や畳、おもてなしの心といった日本の文化を守りたいと思っています。
ですから館内は日本古来の伝統行事を意識した季節の装いを心掛けています。
(女将さん)

他県の温泉街の勉強に出掛けられる事も多いですか…

熊本県の黒川温泉は外湯めぐりを採用してから復活したと聞いています。
そこには様々な工夫があるそうですが、始めに各旅館の外周に木々を植えて景観を好くする活動をしたそうです。
(女将さん)

湯谷温泉街は旧鳳来町の頃から景観条例があって、建物の高さは3階までと決められています。
そのお陰もあり、温泉街には昔の温泉情緒が残っているので、これを街並みに生かしていきたいです。
(ご主人)

「湯谷温泉女将の会」

活動内容は桜やツツジの植栽をしたり、間伐材を使ってベンチを作製しました。
女将茶屋という名の立ち寄り小屋がありまして、俳句や屏風を飾っています。
6月はお客様や一般の方が「ちぎり絵」を飾ってくれております。
温泉街をお客様が散歩される時、ベンチがとても喜ばれています。
実はアメリカではご家族を亡くしたお母さんが、それを偲びボランティア活動でベンチを全土に寄贈しているそうで、そのお話を聞き、感銘を受けてやったんです。
(女将さん)

「女将の会」の活動には色々と助けられています。
旅館組合だけでは、どうしても利害関係があって実行できないことを女将の会は取り組んでくれますから。
(ご主人)

出典

「キラッと奥三河 ―人・物・文化・企業―」
No.5 伝えたい 和の心 湯谷観光ホテル泉山閣
訪問日 平成22 年6月2日
訪問者 新城設楽山村振興事務所 山村振興課 宮内一郎

※記載内容は取材当時のものです。

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